【名作昔話を掘り下げる13】『かしこいモリー』

この「名作昔話を掘り下げる」のコーナーは、

全14回を予定しておりましたので、

今回を入れて、あと2回となります。

次回、最終回は、これまでとはちょっと趣向を変えたものになる予定です。(お楽しみに。)

 

今回のお話

『かしこいモリー』ですが、

これはまさに、

昔話というものが、

”幸せになりたいと願う人間の心”

そのものである

ということがよ〜く分かるお話ですね。

 

 

 

昔話によく出てくる「3の要素」も、

もちろん出てきます。

しかも、さも、当たり前のように。

Hirayama
では、

ラスト2回になりましたが、

昔話の公開”掘り下げ”、今回も突っ走っていきます。

これまで何度も申し上げましたが、このコーナーは、

物語創作に興味のある人

そして、

今、心のモヤモヤを抱えている人に、

大きな示唆を与えるものとなっています。

それではスタート!

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今回ご紹介する話は…

↑これらの中に収録されています。



↑私による朗読です。(記事をお読みいただいた後に聴くほうがいいかも知れません。)

このストーリーのモチーフ(発想の原点)

どんな状況に陥っても、人間には希望がある。

希望、それは「知恵」と「実行力」である。
”モチーフ”とは、もともと音楽用語で「最小旋律」を意味します。物語創作に置き換えると「こんな物語を作りたいなぁ」という”イメージ像”あるいは”きっかけ”のようなものです。
「知恵」「勇気」「実行力」と書こうかと思いましたが、

「勇気」はやめました。勇気を出すのって、難しいです。

知恵が確かな知恵であれば、

勇気はいらないかも知れません。

「勇気がないと、幸せは手に入らない」なんて、

そんなこと言ってむやみに幸せを遠ざけることもありませんね。

…あ、ちょっと寄り道しました。

では、次に行きましょう。

物語の『天・地・人』

続いて、基本設定も押さえておきます。

天(時代・世界設定)

イギリスの昔(当然「昔話」なので、ファンタジー要素が強い世界観です。)

地(物語のスタート地点)

あるところ(森が近くにある)

人(主人公および登場人物)

モリー、モリーの2人の姉、森の一軒家に住む人食いの大男、大男のおかみさん、大男の娘(3人)、王様、モリーの両親
これまで紹介してきたお話の中では、

登場人物がけっこうバラエティーに富んでいますね。

あらすじ(物語のおおまかな設計図)

森へ捨てられたモリー含む3姉妹が、

お腹をすかせて、森の中の一軒家にたどり着きます。

そこには人喰いの大男とおかみさんと3人娘がいました。

モリーの作戦で、大男に、間違って3人娘を殺害させ、

モリーたちはここから逃げます。

これを王様に報告すると、今度は、

「大男のところから〇〇を盗み出してこい」

と次々に指令を受けます。

これらを全て

”ミッションコンプリート”したモリーは、

王子様と結婚し、姉ともども、幸せに暮らしましたとさ。

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起承転結は?

森ヘ捨てられた3姉妹は、森の中の一軒家にたどり着く。

モリーは、人喰いの大男から自分たちを守るために、”かしこい作戦”を実行。

見事、人喰いの大男の家をノーダメージで乗り切る。

承①

3姉妹が走って逃げた先は、立派なお屋敷。

そこは王様の御殿だった。

王様にことの次第を話すと、王様は

「大男のところから刀を盗んできたら、上の姉さんを、私の上の息子と結婚させてあげよう」と提案。

「やってみます!」と返事をするモリー。

見事、成し遂げる。

承②

モリーが戻ると、今度は王様は、

「大男のところから財布を盗んできたら、2番目の姉さんを、私の2番目の息子と結婚させてあげよう」と提案。

「やってみます!」と返事をするモリー。

見事、成し遂げる。

承③


モリーが戻ると、今度は王様は、

「大男のところから指輪を盗んできたら、お前を、私の末の息子と結婚させてあげよう」と提案。

「やってみます!」と返事をするモリー。

…しかし今度は失敗し、モリーは大男につかまってしまう…。

大男:「お前がわしにしたことを、お前がされたとしたら、どんな仕返しをする?」

モリー:「そいつを大きな袋に入れて、そこに犬と猫と、ハサミと糸を入れて、死ぬまで棒でぶっ叩くわ」

大男:「それをお前にしてやるわ!」

袋に入れられたモリーは、知恵を使って、

おかみさんを身代わりにすることに成功。

大男は、袋に入ったおかみさんを棒でぶっ叩く。

…モリー、何とかミッション完了。

モリーは、王様の末の息子と結婚し、

その後も幸せに暮らしましたとさ。
一般的な「起承転結」は、さらに細かく分けると「起」→「承①」→「承②」→「承③」→「転」→「結」となります。これは昔話以外のどんな長い物語にも当てはまります。主人公の「アクション(行動)」および「それによって動いた事実」に焦点を絞って振り分けます。

このストーリーの伝えるメッセージは?

…なかなかインパクトのある話です。

 

さらっと読むと、

「モリーひでぇ…。人喰いの大男のおかみさん、かわいそ過ぎだろ…」

と思ってしまいますが、

このお話の”本質”は、そんなところではありません。

 

このお話が描いているのは、

絶望的な状況でも希望を捨てず、知恵で乗り切る人間の姿

です。

 

知恵は、頭をひねりさえすれば、誰でも手にすることができます。

元手は、タダです。

 

大男の3人娘が惨殺されたり、

大男のおかみさんも、こちらも言ってみりゃ惨殺されてしまうわけですが、

 

これは物語を進行させるため、

便宜上、このような扱いになっているに過ぎず、

この物語が人々に訴えるメッセージとは全く関係ありません。

 

ピンチに陥っても、希望を捨てず、

知恵で乗り切るモリーの姿…

 

これがこの『かしこいモリー』の伝えるメッセージです。

 

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このストーリーのポイントは?

昔話は、

古来から人々の口から口へ、伝承されてきたお話です。

 

どのお話にしても、

「なぜ、こんな話を伝承してきたか?」と考えた時、

その理由は、

 

「人々に求められてきたから」

 

に他なりません。

 

私がさきほど語った、”このお話が伝えるメッセージ”というものは、

このお話と一緒にどこかで明文化されて、伝承されてきたものではありません。

 

ずっと、このお話に”内包”されて、

伝承されてきたのです。

 

昔話に内包されているメッセージは、

明文化されていないものの、

いえ、逆に明文化されていないからこそ、

人の心の奥底

に届くのです。

 

昔話は、シンプルな骨組みの、短いお話です。

特徴はそれだけ。

現代において次々に作られていくストーリーと、一切変わりはありません。

 

これまでずーっと人々は、

物語(昔話)によって、

「希望」を伝承してきたのです。

 

現代において、ストーリーに求められているものも、

究極的には「希望」です。

 

人は、物語によって、”生きるパワー”

を得るのです。

 

 

 

そして、

この『かしこいモリー』というお話の最大のポイントを一つ、

指摘しましょう。

 

それは、最後の一文のここです。

それからというもの、2度と大男には会いませんでしたとさ。

 

…う〜ん、深い。

深すぎる。

 

私が考える『かしこいモリー』の伝えるメッセージはこうです。

人生には、次々と困難が降りかかる。

それは知恵で乗り切ればいい。

一つの困難を乗り切っても、また次の困難がやってくる。

それだって、素直に受け止めて、

乗り切ればいい。

それが、ひいては、近くの人を幸せにし、

最後には自分も幸せにする…。

そして困難には、いつか終わりが来ますよ。

心配しないでね。

最後の一文が、ものすごく効いています。

これに救われます。

ただ都合のいい話をして、調子のいい話をして、

人に希望を抱かせるのとは違うんですね。

 

極端なエピソードで、人の心の振り子を大きく動かし、

物語を”体感”させる。

…それが昔話です。

 

(一見残酷に感じるエピソードは、中身を細かく語らず、あくまでも表面的に語っているので、ここで”茶化し”を入れてはいけません。)

 

現代の創作ストーリーであれば、

骨組みはそのままに

この「エピソード」の部分を、現代風に置き換えればいいのです。

それで、物語創作は成り立ちます。
Hirayama
次回、この「名作昔話を掘り下げる」の最終回ですが、

最後は、”物語創作の一端”をじかにお見せしたいと思います。

あくまでも昔話風に…。(どういうことかは、見てのお楽しみです。)

【名作昔話を掘り下げる12】『ねこの大王』

2017.11.08

【名作昔話を掘り下げる14】『なげきの王と五つ目の季節』

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